DX

【2024】DXとは何か?メリットや問題点もわかりやすく説明!

デジタル化が進むにつれ、世間では「DX化」という言葉を耳にするようになりました。DXという言葉を聞いたことはあっても「具体的に何をすればよいのか分からない」「IT化やデジタル化との違いは何?」と詳しく分からない方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、DXをまったく知らない方および興味をもっている方に向け、概要をわかりやすく解説します。

DXとは何か

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称であり、スウェーデンの大学教授、エリック・ストルターマン氏が定義したとされています。
現在は「デジタル技術を活用し、ビジネスモデルや仕組み、業務プロセスに変革をもたらすための取り組み」という意味で使われることが多く、その取り組みを行ったうえで、デジタル化で進むビジネス環境の変化に柔軟に対応できるようにすることが、主な狙いです。
DXの意味をよりわかりやすく説明するなら、「デジタル技術を使ってビジネスモデルそのものを変えること」となります。
組織内の一部の作業を自動化するのではなく、企業ぐるみでビジネスモデルや仕組みそのものを変えるものです。

以下の動画も参考になります。

DXとデジタル化、IT化との違いは?

よくDXと混同されがちなデジタル化とIT化の意味は、それぞれ以下のとおりです。

デジタル化

従来のアナログ業務のなかで、デジタル技術を使って効率化できる部分を改善すること。
例えば、ミーティングルームで行っていた会議をオンラインで行う、書類をシステム上で管理しペーパーレス、ハンコレスにするなどが該当する。

IT化

業務のプロセスそのものを維持しつつ、業務を効率化させてプロセス全体を最適化することを目指す。
例えば、社員の出退勤を記録する手段を、タイムカードに個人個人が打刻する方法から社員証の読み取りに変える、集計にデジタルツールを使う、定型業務を自動化するなどが該当する。

DXとの違い

前述の通りDXは、企業が市場の変化に対応しつつ、デジタル技術の導入により新たな価値、体験を提供することを指しており、そのために行われる社内の変革も含まれます。
一方でIT化やデジタル化は、DXを実現するための手段で、DXの前段階に相当します。例えば、紙の書類を使わず、社内会議をすべてオンライン会議に変更することは、特定の業務をデジタル化しただけに過ぎません。それだけではDXを実現したとはいえないのです。
つまり、IT化やデジタル化を進めた先にある顧客エンゲージメントを高めること、顧客体験価値の向上を見据えるのがDXだといえます。

DXをビジネスに導入すべき理由

DXをビジネスに導入する理由として、以下の3つが挙げられます。

  • ビジネス環境や顧客の需要の変化が早く多様化する市場に素早く対応し、自社のビジネスを優位に進めるため
  • 業務プロセスを自動化・効率化し、労働力不足の改善や社員の業務負担を軽減し生産性向上につなげるため
  • 既存システムをより管理しやすいものに改善し、削減した運用費用を新たなビジネスへ投資するため

2020年初頭から新型コロナウイルスが世界的に広がり、ビジネス環境が一気に変わりました。そのような変化に柔軟に対応するためにも、顧客の需要の変化をいち早くキャッチし、変化に対応できるサービス環境の検討、ビジネスモデルへの転換が必要でした。
急激な変化に柔軟に対応し、激しい競争に勝ち抜き、生き残るために必要だと考えられたのがDXです。DX導入の重要性が再認識されるきっかけのひとつだったといえます。

DXを導入することのメリット

DXをビジネスに導入することは、企業にとって多くのメリットがあります。具体的に見ていきましょう。

●業務効率化が実現する

DXは業務形態を見直すことを視野に入れているため、既存の業務プロセスの改善が必須となります。DXに取り組むことが、全体的な業務フローを見直し、業務効率化を実現する機会になるのです。
タスクの自動化やクラウド上でのドキュメント管理など、業務効率化に必要なシステムを導入することで、ヒューマンエラーの防止にもつなげられます。
例えば人事部門では、社員の登録管理という、社内システムへの権限付与の基本となる業務があります。退職した社員の登録を消去し忘れるというヒューマンエラーが起これば、アカウントを他者に悪用されるといった重大な事故につながりかねません。このように、システムを導入し定型業務を自動化することは、無駄な労力の削減だけでなく、ヒューマンエラーの防止やセキュリティ対策としても有効です。

●生産性の向上が期待できる

業務を効率化することにより作業の無駄がなくなるため、別のプロジェクトへ人員を割り振るなど、人員の再配置が可能になります。その結果、業績向上に必要なアイデアの立案、将来に向けての新しいビジネスプラン創出などに注力する余裕が生まれ、DXの推進が加速するでしょう。
例えば、マーケティングに必要な顧客属性、購入履歴、顧客満足度などの情報収集を自動化するプログラムを作成すると、社員は自動収集によって得られた情報をもとに、戦略立案・実行に力を注げるようになります。
このように将来へのビジネスモデル構築に多くの時間を割けるようになるため、継続しての生産性向上が期待できるでしょう。

●新規サービスの開発に取り組みやすくなる

DXの推進は、新規事業やビジネスモデルの開発につながります。
DX実現に欠かせないデジタル化によって、顧客情報の分析・解析が容易になるためです。
今までのビジネスの仕組みを変えて、新しいサービスを提供できるでしょう。
例えば近年、技術の成長が著しいAIを活用した新しいビジネスモデルの開発が挙げられます。AIによるスピーディーなデータ分析は、顧客に新しい価値を提供できるかもしれません。すでに、ビジネスの現場ではAIを活用した新規事業が注目されています。
このように新規事業は、常に最新の技術と共にあるといえるのです。これらの最新技術を駆使するには、膨大なデータを処理するために効率的な業務プロセスが求められるため、やはりDXの推進が欠かせません

●BCPを充実させられる

BCPとは事業継続計画のことで、災害やシステム障害があった際の事業の中断を最小限に抑え、業務を継続するための計画のことです。
万が一の事態に対処するためには、普段から業務システム・機能を各所に分散させておくことが大切です。
DXを進めるなかで、社内情報をクラウド上で管理し、リモート勤務体制の構築ができていれば、災害が発生した際でも影響を最小限に抑え、通常業務を継続できるでしょう。
たとえば自然災害や感染症パンデミックなど、世の中の変化・流れに抗うことはできません。こういった変化に対応できる対策としてDXに取り組むことで、どんな変化にも柔軟に対応でき、事業を継続していくことが可能になります。
つまり、DXを推し進めることは、災害に強い企業や事業体制をつくることにもなるのです。

●働き方改革の実現が可能になる

働き方改革が実現できることは、大きなメリットとして挙げられます。
DXに取り組むということは、デジタル技術による業務効率化が不可欠です。業務効率化が実現することは、社員の作業時間と労力を減らすことにつながり、結果として残業時間を減らせるためです。
また、空いた人員をより重要なタスクに割いたり、小休憩を追加するなどの改革を行えるため、社員のモチベーションにもつながるでしょう。
さらにデジタル技術の導入によって、離れた場所からでも仕事ができるようになれば、リモートワークの推進が可能となり、人材の活用という点でもメリットが生まれます。

DXの現状の課題

経営層の理解とリーダーシップの欠如

DXに対する理解不足:経営層がDXの本質を十分に理解していない場合、組織全体でDXの推進が停滞することがあります。技術導入だけでなく、業務プロセスやビジネスモデルの変革が伴うことを理解する必要があります。
リーダーシップの欠如:DXには強力なリーダーシップが求められますが、明確なビジョンや戦略がないと、プロジェクトが失敗するリスクが高まります。

人材不足

デジタルスキルを持つ人材の不足:AI、データサイエンス、クラウド、IoTなど、DXに不可欠なスキルを持つ人材の確保が困難です。特に中小企業では、ITリソースが限られているため、外部リソースに依存するケースもあります。
既存社員のスキルギャップ:DXに対応するためには既存の社員も新しい技術や手法を学ぶ必要がありますが、学習のためのリソースや時間が十分に確保されていない場合があります。

レガシーシステムの維持と更新

レガシーシステムの存在:多くの企業が既存のレガシーシステムを維持しており、これを新しいシステムに移行するのにコストと時間がかかるため、DXが進みにくい状況があります。レガシーシステムの改修や、データの移行が大きな障害となります。
システムのサイロ化:部門ごとに異なるシステムやデータベースを使用していると、データの統合やプロセスの最適化が困難になります。これにより、DXの全社的な推進が遅れることがよくあります。

文化と組織の変革

変革への抵抗:DXは単なる技術導入ではなく、企業文化や働き方の変革を伴います。そのため、従業員や中間管理職の一部が変革に抵抗し、プロジェクトが停滞することがあります。
変化に対応する企業文化の欠如:迅速な変化に対応できる柔軟な企業文化がないと、DXの取り組みが進みづらいです。特に古い体制を維持している企業では、変革に対する柔軟性が不足しがちです。

これらの課題に対処するためには、戦略的なアプローチと継続的な改善が重要です。企業全体での意識改革と共に、技術とビジネスの統合的な取り組みが求められます。

まとめ

以上、DXの概要やメリット、DXの課題などを紹介してきました。DXはわかりやすくいうと、「デジタル技術を使ってビジネスモデルそのものを変えるための取り組み」です。
取り組むには組織一丸で協力し合う姿勢が必要になるため、すぐかんたんに実現できるものではありません。周囲の理解や協力を得ること、またDX環境の構築など、小さなことから少しずつ始めていくことが大切です。

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